そもそも相続税の計算方法は?

皆さんこんにちは。問題解決型税理士の内田智弘です。

相続税の申告においても、相続の生前対策にしても、いずれにしても、そもそもの基本が間違っていたら、誤った方向性で進んでいってしまうもの。

相続が発生してから、申告後に気付いたときには、もう遅かった!なんてこともあるのです。

ここでは、その計算の基本をまずはおさえましょう! 

 まずは財産を調べましょう

個人事業や法人であれば、課税されるのは、その事業から得た「利益」となるのですが、相続税は珍しい財産課税です。

被相続人が遺した財産について課税がなされるのです。

ここからは、万が一相続が発生したときの実務的なお話になりますので、計算方法は、次の見出しに飛んでみてくださいね。

最初に、相続人が相続した(無償で譲り受けた)財産がどのくらいの価値があるのかを調査していきます。

そのためにも、どのような種類の財産がどれほどあるかをしっかりと把握する必要があります。

配偶者が生存していれば何となくはわかるもの。

しかし、両親が亡くなったときの子供たちは、親の財産なんて知らされていないですから、なかには驚いてしまうような財産も発見してしまうかも!?

まずは、当然ですが、自宅を調べましょう。

財産把握の鍵は自宅にあります。その中でも重要となるのは、郵便物でしょう。

預金口座があれば金融機関から、有価証券を保有していれば証券会社から、不動産を保有していれば課税明細書が役所から、郵送されるはずです。

その他の財産も何らかのお知らせが届いている可能性がありますよね。

こういったところから、まずは大まかな財産把握をしていきましょう。

財産が把握できたら、これを相続税評価額(相続税を課税するための評価額)に評価替えをしていきます。

現金については残高がそのままとなるのですが、有価証券や不動産については計算方式が決まってますので、計算方式に従って計算していきます。

それぞれの計算が完了(相続税評価額算出)したら、その合計が、遺産総額となります。

実際には、生前贈与加算や債務および葬式費用の差引きがありますが、ここでは省略いたします。

【財産を相続したとき】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_4.htm

 相続人は何人いるの?

遺産総額が算出されたら、相続税の総額(相続人みんなで納税する相続税の総額)を計算していきますが、ポイントとなるのが相続人の数です。

原則的には、民法で定められている相続人が相続税の計算するときの相続人の数となりますが、ポイントは養子の有無です。

民法上の相続人の数を計算して、「実子がいる場合には、養子は1人まで」「実子がいない場合には、養子は2人まで」を相続人の数に含めることができます。

これは、あくまで相続税の計算の過程における人数となりますので、混在しないようにしましょう!

 仮計算って何?

いよいよ相続税の計算となりますが、実際に相続人が納税する相続税の計算までは2つのステップが必要です。

その1つ目が「仮計算」です。

この仮計算で、相続税の総額(相続人みんなで納税する相続税の総額)を計算します。

こちらは数字を使っていきましょう!

遺産総額:1憶5,000万円

相続人:配偶者、長男、長女

この場合、課税遺産総額は「150,000,000円 - 48,000,000円(基礎控除) = 102,000,000円」です。

ここからが「仮計算」です。相続人が仮に法定相続分(民法上の相続割合)で取得すると税金がいくらになるかを計算するのです。

配偶者は2分の1なので、51,000,000円。

長男と長女は4分の1ずつなので、25,500,000円。

この金額に対して、税率を乗じていきます。

配偶者は、30%を乗じて、7,000,000円控除するため、8,300,000円。

長男と長女は15%を乗じて、500,000円控除するため、3,325,000円。

合計すると、相続税の総額(相続人みんなで納税する相続税の総額)は、14,950,000円(特例等の適用は考慮しておりません。)となりますね!

これで、1つ目のステップ完了です!

【相続税の税率】

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

【相続税の計算】

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

 実際の納税額は?

次の2つ目のステップですが、実際の相続割合(相続人が全体のどの程度の財産を取得するかの割合)で、先ほど計算した相続税額を按分します。

例えば、配偶者:長男:長女 = 6 : 2 : 2 = 897万円:299万円:299万円となります。

また、配偶者:長男:長女 = 3 : 5 : 2 = 448.5万円:747.5万円:299万円となります。

これは、色々とパターンがありそうですね。

相続対策にもつながるのですが、特例の適用関係や財産の割合(流動資産と固定資産の割合)によっても変わってくるので、まずは基本をしっかり押さえて、ここから何事もスタートしてみましょう。

今後、本投稿以外の分野でも、以下のような税務関係等ののお困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。
・相続税の申告が必要かどうか判断する。
・おおよその相続税をシミュレーションする。
・相続財産を分割する際の不動産のおおよその価値を把握する。
・現状の株価を試算して事業承継を考える。
・創業するので、相談にのってほしい。
・法人化のメリットとデメリットを聞きたい。

内田税理士事務所 代表税理士 内田 智弘

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