早めの贈与なら、相続時精算課税贈与制度を活用したい!

皆さんこんにちは。問題解決型税理士の内田智弘です。

相続税の生前対策として、贈与を活用することはもちろんなのですが、この贈与制度、実は制度が二種類あるのはご存じですか?

しかも、かなり内容の異なる、正反対の制度なのです。

その一つとして「相続時精算課税制度」という制度があります。

制度の名前で何となくは理解できるのですが、そのまま相続時に精算する制度です。

相続時に精算しなければならない制度ではあるのですが、メリットもたくさんあり、早めの贈与により得することも多いので、詳しく要件等を見ていきましょう!

  1. 相続時精算課税制度の概要
  2. 相続税申告時は実際どうするの?
  3. 今後はどうするか

 相続時精算課税制度の概要

概要は端的にいきましょう。

比較するとわかりやすいので、もう一つの制度である暦年課税制度と比較します。

暦年課税制度は、みなさんご存じ、1年間で非課税枠が110万円の制度です。一定の親族間では税率が優遇されます。しかし、最高税率は55%

相続時精算課税制度は贈与税の非課税枠がなんと2,500万円!しかも、非課税枠を超えた部分にかかる税率は一律で20%!

しかし、1年間ごとに何回もというわけにもいかず、この制度は組み合わせごとに利用します。

例えば、両親からであれば、父から2,500万円と母から2,500万円の非課税枠を使うことが可能です。

【相続時精算課税の選択】へのリンクはこちらをクリック!

 相続税申告時は実際どうなるの?

最初に、相続時に精算する制度と説明しますが、実際には金額を使って考えてみましょう!

家族は、父、母、長男、長女という構成で、生前に、父から長男へ有価証券5,000万円を贈与します。

このときの贈与税は、以下の計算となります。

( 5,000万円 - 2,500万円(非課税枠)) × 20% = 5,000,000円

このあと、相続が発生します。

父の遺産は、相続発生時に、3億円ありました。

まずは、課税遺産総額(相続税の計算のための財産額)へ贈与時の価額で、持ち戻します。

持ち戻し後の価額は、3.5億円となります。

算出された相続税は、それぞれ

母  ⇒ 43,400,000円(配偶者の税額軽減で納税が発生しない可能性もあります。)

長男および長女 ⇒ 15,650,000円

ここで、長男は相続時精算課税制度の贈与時の納税額があるので、納税した贈与税は、相続税から控除(相続で税金を精算)することができます。

最終的には、長男は10,650,000円の相続税の納税となります。

相続税の計算については、以下のブログで解説をしてます!

【そもそも相続税の計算方法は?】ブログへのリンクはこちらをクリック!

 今後はどうするか

ポイントは2つありました!

贈与時に納税した贈与税が控除(相続で税金を精算)されることは特段重要なことではないのですが、贈与時の価額で再計算(相続で税金を精算)することが重要ですかね。

つまり、これから価値の上昇するものを贈与すれば、含み益相当分が課税されない仕組みとなります。

代表例としては、非上場株式(オーナー企業の同族株式)が多いですね!

よくあるのは、代表が後継者の息子に対して贈与する際に、まずは先代が退くタイミングで退職金を支払います。

退職金も税務上の限度がありますが、退職金支払い後のタイミングで株価が下がることがあるため、事業の承継のタイミングで後継者に贈与します。

そうすると承継した後継者が事業を頑張れば頑張るほど含み益が大きくなりますから、後継者のモチベーションにもつながりますよね。

あとは、相続時に遺産総額が基礎控除以下になる想定の場合もメリットがあります!

本来は、相続で税金を精算するために、相続税の申告が必須となる制度なのですが、相続時に基礎控除以下でそもそも申告の義務が必要ないときには、この制度を使っていたとしても、相続税の申告が不要となるのです。

そのため、贈与時に非課税枠を2,500万円(2,500万円以下で贈与税が非課税)使うことができる、かつ、相続時にも申告不要および非課税となるのです。

使い方次第では、早期の贈与で得するパターンがいろいろとあるので、メリットとデメリットを把握したうえで、効率的な資産承継を実現しましょう。

【相続時精算課税の選択と相続税の申告義務】へのリンクはこちらをクリック!

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