皆さんこんにちは。問題解決型税理士の内田智弘です。
今回は、さまざまな税金の納税期限に、遅れて納税した場合のペナルティのお話です。
税目によっても期限が少しだけ異なったりしますが、1日でも遅れてしまうと附帯税がかかるケースもあれば、金額によってはペナルティが免除されるケースもありますので、しっかりと確認しましょう!
- 納税期限はいつ?
- 期限を遅れて納付するとどうなるの?
- そのほかの附帯税はあるの?
- 今後はどうするか?
納税期限はいつ?
まずは、納税期限から確認していきましょう!
納税者は、日々の生活でさまざまな税金の納税義務を負っていますが、その納税には「申告納税方式」と「賦課課税方式」があります。
「申告納税方式」というのは、所得税や法人税のように、みずから利益を計算して税務署へ申告書として提出していくものです。
一方、「賦課課税方式」というのは、固定資産税のように、行政が納税額を計算して、その納税額の通知とともに納付書を届けられ、その納付書をもって納税するものです。
ここでは、申告納税方式の税金について説明していきます!
国税通則法
まず、国税通則法という国税に関する基本的共通的な事項を定めている法律に以下のように規定されています。
国税通則法第35条
期限内申告書を提出した者は、国税に関する法律に定めるところにより、当該申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に相当する国税をその法定納期限までに国に納付しなければならない。
次に掲げる金額に相当する国税の納税者は、その国税を当該各号に定める日までに国に納付しなければならない。
期限後申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額又は修正申告書に記載した金額または修正申告書の提出により納付すべき税額が新たにあることとなつた場合の当該納付すべき税額
それぞれの国税に関する法律に、具体的な法定申告期限が委ねられているということですので、具体的に見ていきましょう!
また、「法定申告期限までに納付」ということは「法定申告期限=納税期限」ということです。
所得税
所得税法第120条
居住者は、その年分の総所得金額等の合計額が所得控除の規定による雑損控除等の合計額を超える場合において、配当控除の額を超えるときは、一定の場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、一定の事項を記載した申告書を提出しなければならない。
所得税の場合は、その年(1月1日から12月31日まで)の翌年2月16日から3月15日までですね。
法人税
法人税法第74条
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき、一定の事項を記載した申告書を提出しなければならない。
法人税の場合は、決算期末から2ヶ月以内(延長除く。)となりますね。
消費税
消費税法第45条
事業者は、課税期間ごとに、当該課税期間の末日の翌日から二月以内に、一定の事項を記載した申告書を税務署長に提出しなければならない。ただし、国内における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れがなく、かつ、一定の消費税額がない課税期間については、この限りでない。
消費税の場合も法人税と同様となり、原則的に決算期末から2ヶ月以内(延長除く。)となりますね。
相続税
相続税法第27条
相続又は遺贈により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格等があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
相続税の場合は、原則的に相続開始日から10ヶ月以内となります。
贈与税
相続税法第28条
贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る贈与税額があるとき等は、その年の翌年二月一日から三月十五日までに、課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
贈与税の場合は、相続税法に定められているのですが、どちらかというと、個人の税金で所得税に近く、その年(1月1日から12月31日まで)の翌年2月1日から3月15日までとなります。
いかがでしょうか。申告期限と納税期限はおさらいできましたね。
期限を遅れて納付するとどうなるの?
では、期限を遅れるとどうなるのでしょう?
まず代表的な附帯税は「延滞税」です。
納税期限までに納付することができず、期限を超えて納付した場合に、その遅れた期間に応じて課税される税金となります。
気になるその割合は、令和2年12月1日現在で、2ヶ月以内までの期間に限り、年2.6%となります。
みなさん、いかがですか?少しお高い気はしますかね。。。
しかしこれも期間限定で、令和2年12月31日までとなります。
本来は原則的に年7.3%となるのですが、特例基準割合という財務大臣が告示する割合に年1%を加算した割合があり、「特例基準割合+1%」と比較して低い割合となります。
年々下がる傾向ではあるので、令和3年1月1日以降も、もしかしたら下がるかもしれませんね。
2ヶ月以降になると、原則的に年14.6%となり、令和2年12月1日現在では、年8.9%となります。。。
最低でも2ヶ月以内には、きちんと納税しましょう。。。
具体的には、税率を乗じる前に10,000円未満の端数は切り捨て、乗じたあとも100円未満を切り捨てます。
本税が9,999円以下であれば、免税ということになりますね。
また、遅れた期間に応じる必要があるので、日数按分も行っていくことになりますね!
【計算例】
前提条件:本税1,875,400円を法定申告期限から50日遅れて納付した。
1,870,000円(10,000円未満切捨て) × 2.6% × 50/365 = 6,660 ⇒ 6,600円(100円未満切捨て)
本税のわりに、案外安いな。。。とは思わないでくださいね!
そのほかの附帯税はあるの?
延滞税を説明しましたが、そのほかにも以下のような附帯税もあります!
こちらは特に期限ではなく、一律となります。
① 過少申告加算税
申告期限内に提出された納税申告書に記載された申告金額が過少であるとして修正申告書が提出された場合や更正があった場合に課される税金で、税額の10%相当額となります。
➁ 無申告加算税
「申告期限までに納税申告書を提出することなく期限後申告書の提出または決定があった場合」と「期限後申告書の提出または決定があったあとに修正申告書の提出または更正があった場合」に課される税金で、税額の15%の割合となります。
今後はどうするか?
とにかく申告期限と納税期限は守りましょう!
守るためには、スケジュール管理を徹底して、早めの行動を心がけることですね。
また、修正申告書を提出するときは、申告書提出日が納税期限になりますので、くれぐれも順番を間違わないように気を付けましょう!
納税が先か、申告書提出と同日に納税することで、附帯税を避けることができます。
申告期限までの申告および納税が、どうしても難しい場合は、期限内申告のほかにも、税目によっては延納制度や猶予制度、換価制度等のさまざまな措置がある場合もありますので、検討する際には早めに検討しましょうね。
今後、本投稿以外の分野でも税務関係等ののお困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。
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