皆さんこんにちは。問題解決型税理士の内田智弘です。
「特定口座」って、あまり聞いたことがないかたが多いかもしれませんが、株取引ではよく耳にする言葉です。
株式の売買や配当で得た利益を確定申告するかどうかの判断は、特定口座の使用の有無や、そのかたの所得状況等によって異なります。
また、株式で得た利益に対してかかる税金を源泉徴収されているかどうかも重要です。特定口座でどんな場合に確定申告が必要になるのでしょうか!
特定口座とは?
特定口座の概要
特定口座は、上場株式等や投資信託をはじめるときに証券会社で開設する取引口座のひとつです。
特定口座内で発生した取引は、証券会社が本人に代わり、売買内容の記録や損益の計算をしてくれるため、とても管理が楽になります!
さらに、1年間の取引内容や損益をとりまとめた「特定口座年間取引報告書」を作成してくれる点もメリットです。
確定申告が必要なの?
源泉徴収ありの特定口座
特定口座は、「源泉徴収ありの口座」と「源泉徴収なしの口座」の2種類があり、いずれかを選択できます。
両者の違いによって確定申告の必要性の有無が変わるので注意してくださいね!
源泉徴収ありの特定口座を選択すれば、譲渡益に対して課される税金があらかじめ差し引かれた上で口座に振り込まれるため、確定申告は不要です。
株式投資では、譲渡益以外にも配当金や分配金も所得となりますが、これらの取り扱いはどうなるのでしょう?
配当金や分配金については。確定申告をしなくとも、源泉徴収ありの特定口座で得た売買益との損益通算が可能です!
源泉徴収なしの特定口座
源泉徴収なしの特定口座を利用した場合、売買益にかかる税額の計算や納税までは行ってくれないため、原則として自分で確定申告が必要です!
源泉徴収ありの特定口座で取引する際と比べ、確定申告書の作成や納税手続きなどとても手間がかかります。
ただし、売買益の計算や特定口座年間取引報告書の作成は行ってくれるので、損益計算の手間が省けるメリットはそのまま継続します。
年間の取引実績がマイナスなら税金は課せられないので、基本的には確定申告の必要はありません。
どういったときが有利なの?
一般口座やほかの特定口座の取引と損益通算
複数の口座で株式や投資信託の取引をしており、他の一般口座や他社の特定口座で生じた損失と損益通算する場合、確定申告した方がお得です!
損益と合算し利益が少なくなるため、これまで源泉徴収で支払った金額に過払い分が発生し、確定申告すれば過払い分の還付金が受け取れる点がメリットとなります!
譲渡損失の繰越控除
譲渡損失の繰越控除とは、年間の株式取引額に損失が生じた場合、翌年以降3年間その損失を繰越できる制度です。
譲渡損失の繰越控除を行えば、翌年以降の取引で生じた利益と損益通算が可能になります。
繰越損失と当年度の利益を合算して課税所得が減らせるので、確定申告により還付金を受け取れる点がメリットです。
注意点としては、譲渡損失の繰越控除を行う際は、3年間毎年確定申告を行う必要があります!
譲渡損失と配当金等を損益通算
「源泉徴収ありの特定口座」で譲渡損失が生じて、その口座に配当金等を受け入れた場合には、確定申告をしなくとも損益通算が行われます。
ただし、源泉徴収ありの特定口座に受け入れた配当金と、一般口座や他社の特定口座で生じた譲渡損失を損益通算する場合は確定申告が必要です!
譲渡損失と配当金の損益通算では確定申告が必要ないと思い込んでいると、上記のケースでは還付金が受け取れなくなる場合もあるので注意しましょう!
今後はどうするか?
基本的には源泉徴収ありの特定口座を選択した方が非常に便利です!
特定口座で生じた利益に対しては証券会社で源泉徴収を行ってくれますし、確定申告は基本的に不要です。
さらには、1年間の取引を「特定口座年間取引報告書」にまとめてもらえます。
これは、取引をしている金融機関から送付されてくるので、その明細を見て、確定申告をするのかしないのかを決めても全く問題ありません!
特例となる、譲渡損失の繰越しや損益通算も同様に、確定申告時期に決めても遅くはないので、おすすめするのは、源泉徴収ありの特定口座です!
NISA等の株式等投資の良い税制度もありますので、コロナ禍をきっかけに投資を始めてみるのはいかがでしょう。
今後、本投稿以外の分野でも、以下のような税務関係等ののお困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。
・相続税の申告が必要かどうか判断する。
・おおよその相続税をシミュレーションする。
・相続財産を分割する際の不動産のおおよその価値を把握する。
・現状の株価を試算して事業承継を考える。
・創業するので、相談にのってほしい。
・法人化のメリットとデメリットを聞きたい。
内田税理士事務所 代表税理士 内田 智弘